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  3. 求人費0円で5年間50名を採用。郡山の美容室「OZ」が実践する、“美容師を縛らない”組織づくり

美容師不足が全国的な課題となる中、
「求人広告を出しても応募が来ない」という悩みを抱えるサロンは少なくありません。


そんな状況の中、福島県郡山市を拠点とする美容室「OZ」は、
求人広告費0円で5年間に50名を採用し、現在では7ブランドを展開するまでに成長しています。


今回、びびわ~く編集部は、株式会社b-exと共に
エミール株式会社代表・吉田氏によるセミナーを企画しました。


自身の失敗や挫折も包み隠さず語りながら、
「人が辞めない組織づくり」について話された内容は、
サロン経営者の方はもちろん、若手美容師や美容学生にとっても多くの学びがあるものでした。
その中でも、特に印象に残ったポイントをご紹介します。




エミール株式会社  代表取締役社長

吉田 賢典氏

福島県内の美容専門学校を卒業後、東京都内で6年間勤務。

その後、地元・福島へUターンし、3年間の業務委託経験を経て29歳で独立。
福島県郡山市(人口約30万人)を拠点に、レディースサロン5店舗、メンズサロン1店舗、アイサロン1店舗などを展開。
創業期の若い組織でありながら「理念(ミッション・ビジョン)」を軸に据えたマネジメントを実践し、スタッフの約半数が都内からのUターン組という「地方の求人強者」として注目を集める。
現在は,現役のプレイングオーナーとして現場の最前線に立前ちながら、
創業6期目でスタッフ数49名、5期年商2億5,000万円を達成。来期は4億円を見込み、
「3年以内に14店舗・年商10億円」を掲げ急成長を続けている。




  求人広告費は0円。それでも50名を採用できた理由  


OZ様では、求人媒体への広告費を一切かけていません。
その代わりに活用しているのがInstagramです。


ただし、発信するのは作品写真や求人情報ではなく、
スタッフが楽しそうに働く日常や、お客様との自然なコミュニケーションなど、サロンの"空気感"が伝わる投稿です。


スタッフをタグ付けして投稿することで、
その投稿はスタッフ自身の友人や専門学校時代の仲間、そして地元に住む家族へと自然に広がっていきます。


吉田氏は、
「今の学生は、親の意見をとても大切にしています。」
とおっしゃいます。


びびわ~く編集部が特に印象的だったのは、「親も採用活動の一部」という考え方です。


SNSを通して「このサロンなら安心して働けそう」

という印象を持ってもらうことが、結果としてUターン就職の後押しにつながっているそうです。
求人広告では伝わらない"働く雰囲気"こそが、最大の採用ツールなのかもしれません。



  「自由」は甘やかすことではない  


OZ様では、正社員でも働き方の自由度が高く設定されています。


    •    土日休みも取得可能
    •    ライブや旅行での休暇も相談しやすい

    •    早上がりや遅出にも柔軟に対応


一見すると自由すぎるようにも感じますが、その根底には明確な考え方があります。


吉田氏は、
「会社が時間を縛らないからこそ、自分の結果は自分の選択として受け入れられる。」
と話しました。


会社や環境のせいにできない。
だからこそスタッフ同士の不満も生まれにくくなり、人間関係も良くなるという考え方です。
びびわ~く編集部も、「自由=ルールがない」ではなく、
「信頼があるからこその自由」という言葉
が、とても印象に残りました。


  離職率が低い理由は、役割を明確に分けること 


OZ様では店長と副店長の役割を明確に分けています。
店長は売上や数字、店舗全体の方向性を考える役割。


一方で副店長は、現場の空気づくりやスタッフフォローに専念します。


吉田氏は、
「副店長には数字を追わせない。」
という言葉も話されていました。


役割を分担することで、それぞれが本来やるべき仕事に集中でき、

結果として組織全体がスムーズに回るそうです。
サロン規模が大きくなるほど、
この考え方は参考になると感じました。




  「オーナーの取扱説明書」というユニークな仕組み 


今回のセミナーで、びびわ~く編集部が最も興味を持ったのが
「オーナーの取扱説明書」という取り組みでした。
吉田氏は、自分自身の性格や考え方をスタッフへ公開しています。


例えば
    •    決断が早いだけで怒っているわけではない
    •    結果を重視するため言葉が強く聞こえることがある
    •    結論だけではなく背景も知りたい
    •    嘘やごまかしは苦手


こうした特徴を最初から共有することで、不要な誤解やすれ違いを減らしているそうです。
経営者が自ら自己開示するという発想はとても新鮮でした。


  「平均」が活躍できる組織を目指す  


美容業界では、売上100万円・120万円を超えるトップスタイリストが注目されることも少なくありません。


しかし、OZ様が目指しているのは、一部のスターを育てることではありません。


吉田氏は、
「生産性80万円を安定して出せる組織をつくりたい。」
と話されていました。


目安としているのは、
    •    生産性:約80万円
    •    客単価:9,000~10,000円
    •    月90名前後の入客
    •    正社員でも月収30万円以上


無理をして売上を伸ばすのではなく

多くのスタッフが長く美容師を続けられる環境を目指していることが伝わってきました。


  「10店舗・売上10億円」はスタッフの未来のため  

吉田氏が掲げる「10店舗・売上10億円」という目標。
一見すると、会社を大きくすることが目的のようにも感じます。


しかし、その理由は少し違いました。


スタッフが新しいブランドを立ち上げたい。
ブリーチ専門店をやってみたい。
将来独立したい。


そんな挑戦を会社として応援できるだけの体力を持つため。
規模を大きくすることは、スタッフ一人ひとりの未来の選択肢を増やすための手段なのだそうです。





編集後記


今回のセミナーを通して、びびわ~く編集部が何度も感じたのは、
「スタッフを管理する」のではなく、「スタッフが長く安心して働ける環境をつくる」という考え方でした。


求職者は「どんな技術が学べるか」や「給与・休日」といった条件に目が向きがちかもしれません。
もちろん、それらはとても大切です。


しかし、それと同じくらい「どんな価値観でサロンを運営しているのか」を知ることも、自分に合った職場選びにつながります。
今回ご紹介したOZ様の取り組みは、一つの正解ではありません。


それでも、「自由」と「責任」を両立させながら、
人が辞めない組織をつくるという考え方には、多くのヒントが詰まっていました。


びびわ~くでは今後も、サロン見学だけでは見えてこない経営者の想いや、
美容業界で活躍する方々の考え方、
そして現場で役立つ学びを、びびわ~く編集部の視点でお届けしていきます。




セミナー終了後も受講された方から写真撮影のリクエストに快く応じる吉田さんでした。